いよいよ新NISAが始まりましたが、皆さんは何を買うか決まっているでしょうか?インデックス一本で行く人も多いと思いますが、せっかく投資枠が拡大し併用(積立枠と成長投資枠)が可能になったのでインデックス以外の投資先にも目を向けて行きたいと思います。今回は配当目当ての米国ETFを中心に考えて行きたいと思います。
SPYD
まずは米国高配当ETF御三家の一つ『SPYD』です。S&P500銘柄の中で特に配当利回りが高い80社で構成されるETFです。注目する点は企業規模にかかわらず配当率の高い企業が均等に近い割合で組入れられている為、配当の安定性がやや低く波がある事です。これまで4%を下回る事は無かったので配当重視で投資をする人には良いと思いますが、キャピタルゲインも併せて狙いたい人にはあまり向いていません。設定来では上がっていますが、コロナショックで下がって以降は上値の重たい状況が続いています。定年やFIREが近づいている人には良い選択肢になるでしょう。
HDV
次も御三家の一つ『HDV』です。米国の財務優良企業の中で配当利回りの高い企業(約75銘柄)で構成されているETFです。注目点は上位3セクター(ヘルスケア・エネルギー・生活必需品)で約60%、4セクター(+情報技術)で約75%とセクターに偏りがある事と、個別では上位10銘柄で約50%を占めている点です。10銘柄で50%は分散の点では不安に感じますが財務優良企業なのでデフォルト(債務不履行)の可能性は低く、どれも景気に左右されにくく株価や需要が安定しているセクターが多いのが特徴です。配当利回りは3%台後半で安定していて減配の年でも同水準はキープしており、減配の翌年には増配して減少分を取り戻しています。※減配前年はいずれも10%以上の増配がされています。
配当利回りでSPYDに劣りますが安定性と増配率はHDVが上になります。株価に関してはヘルスケアと情報技術は上昇の期待、生活必需品は安定、エネルギーは波ありといった感じなので長期的には少しずつ上昇すると見ています。
VYM
御三家最後の一つ『VYM』です。米国株式市場の中でREIT(不動産)を除く高配当利回り銘柄で構成されているETFです。注目は上記の2つと違い銘柄数が多い(約450銘柄)ので分散が効いている事と、セクター別では金融が多く(約20%で比率1位)情報技術が少ない(約5%)事です。配当利回りは3%台前半で安定していますが、配当額はリーマンショック後に2度の減配以降10年以上に渡って増配してきました。リーマンショック前の配当額から約2.3倍になっています。増配しても利回りが安定していると言う事は株価も上昇している事を示しています。SPYD、HDVに比べると利回りが落ちるので物足りなさを感じますが、増配は魅力的で10年、20年先の配当金生活を考えるならばVYMが一番ではないでしょうか。
VIG
高配当ではありませんが、人気は御三家に匹敵するETF『VIG』です。10年以上の連続増配で財務面での安定性も重要視するので『連続増配の持続が可能な大型企業』が中心になります。注目すべきは高配当ではないが増配に期待が持てる事と株価上昇にも大きな期待が出来る点です。構成銘柄数は300以上でセクター比率も分散が効いています。VYM同様にインカム(配当)とキャピタル(株価上昇)の両方が狙えるETFで違いは情報技術セクターの比率の差が大きい事です。現在の配当に重きを置く(VYM)か?将来の株価上昇を期待する(VIG)か? この2つはコスト(経費率)の差も無いのでどちらか選んでも半々に分けても後悔する様な差は出ないと思います。
JEPI
最後に紹介するETFは『JEPI』です。こちらは『カバードコール戦略』と呼ばれる方法で運用されています。カバードコールとは株式投資とオプション取引を組み合わせた投資戦略の一つですが、オプション取引の仕組みを理解するのは難しいので利用する理由が分かっていれば大丈夫です。
オプション取引は個別株の投資家に保険を掛けてもらうイメージです。
①100円の株が90円に下がった場合95円で引き取ります。(投資家は下落を5円で抑える事が出来る)
②100円の株110円に上がった場合105円で売ります。(投資家は106円以降の利益を得る事が出来る)
③個別株の投資家はこのリスク引き受けてもらう代わりに『JEPI』の運用者に費用を支払います。
この費用とJEPIの構成銘柄からの配当金を合わせる事で相場の下落時も一定のリターン(分配金)をもたらす事が出来ます。
※オプション取引の説明は個人的な解釈です。
※分配金のリターンは安定を目指しているが一定(同額)ではない。
『JEPI』は人気のETFですが、その理由は非常に高い配当利回りにあります。ただ当初10%を超えていた利回りが2023年は下がり続けて2023年12月時点では8.4%になっています。8%超は充分な高配当ですが、このまま下がり続ければ旨味は無くなります。税金の事を考慮するとSPYDと差が無くなります。
特殊なETFなので先に挙げた4つのETFとの下記の様な違いがあります。
①経費率の違い 『JEPI』0.35%に対し、上記4つは0.06~0.08%
②分配金の回数 『JEPI』年12回に対し、上記4つは年4回
※回数は分配金の総額に影響は無いが、年12回(毎月分配)になるとNISAでの購入が不可。
③オプション取引の関係で株価上昇分の全てを享受する事が出来ない。
④2023年末時点で対応する投資信託が無い。上記4つはある。
※ETFで購入するなら関係無いが、投資信託があれば100円からでも購入が出来る。
①:『JEPI』は業界でも革新的なファンドで人気も高い為、他社でも類似商品が出始めています。類似商品んが増えれば経費率が下がる可能性が高い。
②④:対応する投資信託が販売される可能性は充分に有り、その際にファンド内の再投資や分配金の回数の変更はあり得る。
結果として③以外の違いは少なからず解消される事は充分に考えられるの購入を検討される方は分配金の動向をもう少し観察してからの方が賢明であると思います。
まとめ
今回説明したETFはどれも素晴らしくその良さを全然伝えきれていないのが情けない限りです。
『JEPI』は少し複雑なので抵抗を覚えるかもしれませんが、構成銘柄自体はS&P500銘柄なので大きな不安要素にはなりません。少しでも配当に興味があるなら試してみる価値はあると思います。
あくまでもインデックスをポートフォリオのコアにしたサテライト部分なので資産の大部分を注ぎ込むことは控えるべきですが、完全なる不労所得(お金がお金を産む)は何とも言えない嬉しさがあります。
現実は世知辛いですが、配当には夢があります。投資は自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/
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