2021年から徐々に進み始めた円安が2022年米国の利上げを背景に急激に円安になりました。日銀が歯止めをかける為に為替介入するなど、ここ2年のドル円相場は非常に値動きが激しく凡人には予想のつかない状況でした。2023年後半にようやく米国の利上げが止まり24年以降の利下げ期待により今度は円高に進み始めました。 円安と円高、投資家にとって歓迎すべきなのはどちらなのでしょう。
円安
円安が進むと海外から仕入れる商品が高くなる為、輸入企業にとってはダメージが大きいです。そしてその商品を国内で売る為に販売価格を上げると消費者がダメージを受けます。海外旅行なども旅行先で現地通貨(ドル)を得る為にこれまでよりも多くの『円』が必要になります。
逆に輸出企業は海外に商品を売る事でより多くの『円』を手にする事が出来ます。トヨタなどの企業が過去最高益を出したなどとニュースになるのはその為です。また海外からの旅行客はお得に買い物が出来る為、外国人観光客にとってはこれまでにないチャンスでインバウンド需要が大きく見込まれるので観光業が潤い、いわゆる『爆買い』も期待出来ます。
円高
円高は全てが逆になり、輸入企業が儲かり輸出企業は利益を上げにくい。お得に海外旅行が出来る様になるが、日本へ来る観光客の消費は減少する。結局どちらに向かっても全員が得をする事は無く、一定の水準で小幅に動いている状態がベターであると言えます。人口に対して領土が狭く、天然資源も乏しい日本では生産の多くを海外に頼る必要があり、また国内で生産(開発)された物も海外に売らなければ国内の市場だけでは利益を大きく上げる事が出来ない(少子高齢化、人口減少の為)ので輸入、輸出はどちらも重要になります。日本経済の成長にはどちらか一方では無く両方ともが上手く行く必要があります。
為替相場
これまでの過去30年間の為替相場を年間の平均レートで見た場合、1ドル100円下回る円高になったのは6回でそのうち5回はリーマンショック後(アメリカ経済が低迷から立ち直るまで)の5年間です。逆に120円を上回る円安になったのは同じく6回でそのうち2回が130円を超えました。概ね100~120円までの間に収まっている様にも感じますが、30年という長期で考えれば20~40%程度の上下は実際に起こり得る事が分かります。 たしかに1ドルが140~150円なのはここ30年で考えれば異常と言える水準ではありますが、上振れ(20%)が2年続けば簡単に到達するので今後もさらに上がる可能性はあります。ここ30年の円高局面は日本経済が強かったのではなくリーマンショック等で米国が明確に弱ったからです。逆に円安局面は日本経済が弱い場合も米国が強い場合も起こっています。結果として円安に振れる確率は高い事になりますし、何よりも円安に傾いた為替を円高に戻す力がどんどん弱まっていると思います。
投資はどうすればいいのか?
難しいですがどちらにも対応出来る様にするしかないです。自身の引退時(老後)の為替を予測してどちらか一方に全振りするギャンブルは止めましょう。教科書通りの運用をするのであれば株だけでなく債権やREIT(不動産投資信託)に分散するかバランスファンドを買うのが一般的だと思います。
しかし色々なアセットに投資してさらに緊急用の現金も一定額貯めるとなると目標金額を達成する確率は下がり結果として老後に不安を残すことになります。成長と安定を考えるとやはり投資は株式一択で振り分けは円建ての投資信託とドル建てのETFに5:5でいいと思います。現金は重要ですが結局は円建て資産なので必要最低限以外は投資信託として運用し、必要の際に売却する方法をお薦めします。
おわりに
リーマンショック後の数年の円高時期を除けば概ね100~120円で推移した為、これくらいのレートが当たり前になっていましたが、将来的に円安方向に振れる可能性は非常に高いと思います。
特に今回の円安は深刻で原因は米国の金利が上がって日本は上がらないので円からドルに資金が流れたと言う構図です。米国だけでなく世界中の多くの国が金利を上げているのに日本は上がらない、上がらないのではなく上げれない。約10年前にゼロ金利(それまでも充分低金利ですが)政策になってから全く上がっていない、そもそも10年経っても上げられないならその政策は失敗で今後も上げられないです。
今の円安の状態でドル建ての資産を買うのはもったいないと感じる人もいると思いますが、この先の参考レートは120~140円で100円程度まで下がるのは米国もしくは世界に影響を及ぼす出来事が起こった時だけです。例としてはリーマンショックやコロナショックですが、2023年は銀行破綻(もしくは危機)が欧米で起こりましたがリーマンショックの様な暴落は起きませんでした。感染症も脅威ですが、コロナの経験を生かして次はコロナ以上に早くワクチンが開発されるでしょう。一時的な下落はあっても暴落や長期の下落は起こりづらいです。
長期投資に取り組めるなら為替は気にせず投資しましょう。投資は自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/
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