【iDeCo】と【NISA】

2024年からNISAが大幅に改良(新NISA)される事で注目が集まっていますが、それ以前からある制度としてiDeCo(イデコ)があります。NISAはイギリスの制度(ISA)を模して造られましたが、iDeCoはアメリカの制度(401k)が見本になって造られました。大きな注目を集めるNISAと違って話題になる事の少ないiDeCoですがメリットももちろんあります。NISAの使い勝手が良くなった為にiDeCoの優位性は低くなりましたが、充分に価値のある制度なので多少でも資金に余裕のある人は利用を検討してはどうでしょうか。

iDeCoとは

2001年に米国の制度(通称401k)を見本に造られた制度で【個人型確定拠出年金】と言います。
個人型の他に企業型もあり、年金なので将来に一定額ずつ受け取る(一括も可)事になります。
確定拠出とは(任意の)決まった額が出して運用(定期預金もあり)する事で企業型には確定給付年金もあります。確定給付年金は企業(もしくは年金基金)が運用し将来貰える(給付)額が確定している年金なので加入者にとってはありがたい制度ですが、運用の失敗などで不足した場合は企業が穴埋めをする責任がある為、この制度の採用は企業にとってリスクが高いです。過去にはJALが経営破綻し、立て直しを図る際にこの企業年金の不足分がネックになり減額提示をされたOBと揉めた事もあります。
確定拠出年金は拠出金が決まっているだけで受け取れる金額は投資成績によって変わります。個人型であれ企業型であれ運用の指示は自分で行うことになります。

節税

NISAには無いiDeCo最大のメリットが節税です。iDeCoの口座に投資した掛金全額が所得控除の対象になります。
収入によって多少の違いはありますが基本的に所得税10%、住民税10%合計で掛金の20%分の税金が安くなります。会社員の場合は所得税分の還付として年末調整で戻ってくる金額が多くなり、住民税分は翌年の住民税が安くなります。20%の節税効果があると言う事は実際の運用が±0でも20%の利益があった事になります。掛金の上限がある為、節税分に複利効果は望めないですが確実に単利20%を出してくれる優良商品だと言う事です。

拠出金額

iDeCoを始める際に重要になるのが拠出金額です。
掛金が多ければ節税効果が大きくなる為、無制限ではなく就業形態によって上限があります。
自営業者:月6.8万円(81.6万/年) 節税効果は約16万円
会社員(企業年金なし):月2.3万円(27.6万/年) 節税効果は約5.5万
会社員(企業年金あり):月1.2~2万円(14.4~24万/年) 節税効果は約3~5万
※専業主婦(夫)も月2.3万円までの拠出は出来ますが、扶養されている場合はそもそも所得税と住民税の支払いが発生していないので節税にはなりません。
月々5,000円から1,000円単位で出来るのでそこまで敷居は高くありません。

運用益が非課税

NISAと同じで運用益が出た場合は非課税になります。これまでのNISAでは運用期間は最大で20年間(積立NISAの場合)なのに対してiDeCoは倍以上の期間で運用が可能でした。月々の拠出金額も大事ですが期間が長くなれば複利効果がさらに大きくなるので少額でも長期間運用すれば大きな利益(非課税の恩恵も大)に繋がります。節税で一定の利益が確定している為、思い切った投資もやり易くなります。

受取り時も控除がある

確定拠出年金の受け取り方法は①一時金として一括で受け取る②期間を決めて(5~20年)年金として受け取る③一部を一時金、残りを年金として受け取るの3つから選びます。
①の場合は『退職所得控除』②の場合は『公的年金等控除』③の場合は①②の併用が出来て税金を安くする事が出来ます。退職金が無い(もしくは少ない)場合などは一括で受け取れば税金が掛からないケースもあると思います。

iDeCoのデメリット

iDeCoにはいくつかのデメリットがあります。人によってはデメリットに感じない事もありますが、大きなデメリットになる事もあります。特に新NISAを知った後ではその思いが強くなるかもしれません。

引き出しが出来ない

iDeCoは原則として60歳まで引き出しが出来ません。また60歳以上であっても加入期間が短い場合は加入年数によって受給開始年齢が変わります。あくまでも年金なので老後に使う事が目的の為、簡単に引き出す事が出来ない制度になっています。資金が拘束されてしまうデメリットが発生します。
これを嫌がる人は多く、投資や資産運用に明るい人ほどその傾向が強いと感じます。 逆に普段から貯蓄が出来ない(苦手な)人や給与口座をいつもゼロになるまで使ってしまう人は先に天引きされて、将来まで使えない様にしてくれるのは理にかなっていると思います。

気軽に始めづらい

ネット証券に口座を持っていれば申し込みは簡単に出来ますが、人によって拠出額の上限が違うので会社員の人は会社に書類を書いてもらう必要(企業年金の有無)があります。怪しい事をしている訳ではありませんが、企業年金の無い会社や規模の小さい会社では専門の担当者が居ない場合もあるので自分で理解し、説明する必要があります。会社側に負担は無く難しい事もありませんが、面倒くさいと感じる経営者はいるでしょう。 転職や退職をした場合も別途手続きが必要になります。

商品(証券会社)の選択を先にする

人によってはこれが一番面倒くさいかもしれません。iDeCoで買える商品は各証券会社によって違います。共通してるの定期預金(元本保証)の商品が必ず一つはある事だけでそれ以外は各証券会社が独自で30本程度の商品を設定しています。つみたてNISA(つみたて枠)で買っている商品がそのまま買える訳ではなく、手数料の高いアクティブファンドも多々あります。 つまり買いたい商品の取り扱いがある証券会社を選んで口座開設をする必要があると言う事です。今NISA口座や特定口座を開いている証券会社で纏めたいならiDeCoで選べる商品は希望通りには行かない可能性もあります。手間は掛かりますが後から他の証券会社に移管する事は可能です。

買うべきか否か

NISAが大幅に拡充された今、iDeCoに資金を投入すべきかどうかで言うと多くの人はNISA優先が正解だと思います。一番の理由は買って売ってが自由に出来る点です。これまでのNISAは売っても買付けの枠が復活しないので結局持ち続ける事になってiDeCoでもあまり大差ありませんでした。
ではiDeCoに向いている人は誰なのか?
自営業者:拠出上限が高い為、節税効果が大。
若年層:社会人になりたてで収入も多くない中でも天引きで貯蓄の習慣を身に付けられる。
高収入:年間のNISA枠を上限まで埋められる人は非課税で運用出来る枠が増える。
これに当てはまる人はiDeCoでの投資を考えてもいいと思います。

おわりに

NISAもiDeCoも素晴らしい制度なので、どちらであっても理解して最大限に活用すれば将来の心配が減る事は間違いありません。 特に若年層であればiDeCoを月1万円定年まで積立てればそれだけで老後資金の問題は解決します。NISAでの運用分はその時々に必要な事に使えばより豊かな生活が送れる様になるでしょう。どちらであっても(あわよくば両方)長く投資を続ける事が大事です。

投資は市場から退場しない事(持続・継続)が成功の秘訣ですが、あくまでも自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/

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