M7脱落か?

先日発表された米電気自動車(EV)最大手のテスラが2024年第1四半期の納車台数が残念な結果でした。昨年中国最大手のBYDに抜かれて以降、株価を含めてパッとしない状態が続いていましたが、今回は市場予想を大きく下回った為に時間外で株価も大幅下落しました。テスラの現状とEVの今後を考えたいと思います。

販売台数

テスラの2024年第1四半期の納車台数は38万6810台で市場予想44万9080台を大きく下回りました。しかもウォール街は第1四半期が終わりに近づくに連れて予想台数をどんどん引き下げていましたが、それすらも下回った事は市場に衝撃を与えました。前年同期比で減少となるのは約4年ぶりの事です。

株価

この発表を受けて時間外で7%の下落、3月には2日間で時価総額780億ドルを失い、最高値からは半値以下になっています。市場の反応は正直で今のテスラに上昇の余地は見られません。以前は半導体不足などで生産が追い付かないなど、販売台数が伸びない事に原因がありましたが、現在の生産台数は販売台数を約12%上回っていて生産のボトルネックが問題ではありません。販売台数と生産台数の差はコロナ禍以降最大になっています。

以前からテスラの株価は高すぎる・バブルだと言われていましたが、もしそうであれば今の株価は適正に近づいただけで悲観する数字ではないのかもしれません。しかしそれではマグニフィセント7に名を連ねる資格(価値)はありません。過去の高い株価(時価総額)から考えると利益率15%を維持し、販売台数1,000万台であれば適切と言えましたが、昨年の販売台数は181万台で今年の利益率は9%を割り込むと言われています。これまでは実体以上に株価が急上昇しても販売台数が伸びていた為になんとかなる雰囲気がありましたが、販売台数の減少(同期比マイナス)を記録した今は株価が上を向く事は望めないでしょう。高金利で消費者が自動車ローンを組めない状況もあり、当面は株価低迷もしくはさらなる下落が続くでしょう。

脱落

まわりが勝手に読んでいるだけですが、マグニフィセント7からの脱落は確実でしょう。テスラが組入れられているファンドは多く、構成比率でも上位にいる為に影響は小さくありません。最近流行りのハイテク集中的なファンドから外れる可能性も否定出来ません。化石燃料の廃止が段階的に進めば再度EV市場が活性化する可能性はありますが、それまでテスラが耐える事が出来るのか分かりません。これまでテスラがEV市場でトップだったのはEVに特化していた事といち早く開発を進めた事です。次のEVブームまでにBYDやGM、トヨタなどがより良いEV車を開発すれば販売台数のシェアを奪われる可能性は十分にあり、このままテスラが廃れて行く事も考えられます。復活を期待したいですが、自動車を売ってなんぼの商売である以上、早急な復活は難しいでしょう。何よりもイーロン・マスクがいつまでもテスラに拘らない様な気がします。

今後

3月末から開催されている自動車見本市「ニューヨーク国際自動車ショー」ではそれまでのEV一辺倒からバランスを重視してガソリン車やハイブリット車の新モデルが多く発表されました。各社の担当者はユーザーニーズに幅広く答える為にEVに偏らず対応していくと言っていますが、要するにEV車が売れなくなっている事は明白で充電設備の普及速度も思ったほどではありません。さらにはバイデン政権が2032年までに新車販売のうち普通自動車に占めるEV車の比率を67%にするとしていた目標を35%に引き下げました。もちろん11月の大統領選挙に向けて一部の票田を確保する狙いもあるでしょうが、8年先の目標値を約半分にすると言うのは業界にとってはかなりのインパクトだと思います。各自動車メーカーが再度、ガソリン車やハイブリット車の販売に注力するのは当然です。大統領が変わって充電ステーションとEVの開発に多額の補助金が流れる様になれば風向きは変わるかもしれませんが、中国のBYDや韓国の現代自動車がEV市場で勢いを増している現状ではシェアを奪われてしまう可能性も高く、米国のEVメーカーがこのまま落ち目になる事は充分に考えられます。テスラが倒産・廃業まで行くかはもちろん分かりませんがマグニフィセント7に復活(まだ脱落してませんが)する可能性は限りなく低いと見ています。

終わりに

テスラに限らずEV車がこれから正念場を迎える事は想像出来ます。これまで各社莫大な開発費用を投じて来ましたが、常に新しい物を開発する為にはさらなる設備投資が必要になります。商品が売れれば投資にお金を回す事が出来ますが、売上が停滞すると苦しくなります。悪循環に陥りEV車に特化したメーカーはその傾向が顕著で退場を余儀なくされ、結果として大手のみが残る状態になります。
排気ガス(地球温暖化)の事を考えればガソリンよりハイブリット、それよりもEVなのは分かりますが電力(電気)の消費量が多くなる為、効率の良いEV車や充電ステーションを開発・設置する必要があります。その設備投資への資金が確保出来なくなりつつある現状ではEVの未来は明るくありません。技術は進歩するかもしれませんがその技術を利用した商品が売れなければ意味がありません。

新しいマグニフィセント7の登場と上昇を期待したいです。最新技術への投資は自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/

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