賃上げ

毎年この時期は春闘で賃上げの話題が多くなります。数年前までは上がるかどうかが話題だったと思いますが、今は上がる事は前提で組合側の要求に対してどこまで受け入れるかが焦点になっています。先日発表された大企業の賃上げ率は33年ぶりに5%を超えた事が速報で伝えられました。満額を超える回答をした企業が多かった事で想定以上に上がった様です。そして賃上げの流れは既存の社員だけでなく、初任給の引き上げも相次いでいます。今回は賃上げと企業の人事を考えようと思います。

中小企業

日本社会の構図として一部を除き大企業の賃上げ無くして中小企業の賃上げはありません。その為、首相をはじめ経団連や連合は大企業に対して強い圧力を掛けています。その流れで中小企業にまで効果が波及する事を狙っているからです。調査によると大阪では約70%の中小企業が賃上げを検討していると答えています。しかしその6割は業績の改善や上昇による賃上げではなく、防衛的な賃上げとなっています。また関東方面の信用金庫の調査では賃上げを予定していない中小零細企業は約35%、そのうち6割が「原資が無い」事が理由となっています。

賃上げ理由

ニュースでトヨタなどの大企業が過去最高益を出した事などが話題になりますが、中小企業ではそういった事は多くありません。もちろん自社の努力によって年々業績と利益を向上させている企業はありますが、多くの企業はそうではありません。つまり賃上げの理由は「仕方なく」がほとんどです。上げないと今働いている人が辞めてしまう、優秀な人が採用出来ないから上げているだけで決して潤っているからではありません。感覚ですが小・零細企業(中企業は分かりません)の社長の方が従業員に対して還元の意識が高い(強い)様に感じます。社員は家族ではありませんが、それに近い感覚で働きに答えようとしていると思います。

初任給

少子化などを背景に新入社員確保に向けて初任給の引き上げが相次いでいます。1~2万円増は当たり前で大手(JFEスチール、第一生命、伊藤忠など)は5万円増と言う会社もあります。九州の地銀でも4~5万円のアップがあり、メガバンクのみずほ銀行と同水準にまで上がっています。これから社会に出て新しい事を始めようとする若者がお金だけで選ぶとは思いたくありませんが、同業種であれば高いを方を選ぶ事は必然でその為には負けない様に引き上げざるを得ないと言えます。それで優秀な人材が集まるかは別ですが。

離職率

もう一つの理由として若年層の離職率の問題があります。調査では大卒で就職した人のうち3年以内の離職率は3割を超えており(2020年3月卒の3年以内離職率32.3%)、3人に1人が辞めている事になりますがかなり高い確率だと思います。この数字が初任給の引き上げによって下がるのか疑問を感じます。むしろ最初から高い給料を支払う分、無駄が多い様に思いますし中小にとっては迷惑な話しではないでしょうか。

今後は

どこまで賃上げが続くのか分かりませんが、大企業と見せかけの中企業(日本マクドナルド、アイリスオーヤマ、ジャパネットたかた、ヨドバシカメラ、東急百貨店など)に何かしらの制限を設けないと小・零細企業は数の力で押し潰れて行くでしょう。大手が自社の賃上げ分を補填する為に、これまで以上に買い叩く事も考えられます。下請けの事をグループと考えて値上げに応じてくれる会社はあまり多くないでしょう。そもそも最低賃金が毎年3%以上、上がっているので企業(特に小・零細)が支払う人件費は勝手に上がって行きます。経営が苦しくなり、倒産・廃業・身売り(買収)が増える事は簡単に想像出来ます。

終わりに

海外(企業競争)との差を考えれば賃上げが続く現状に終わりは無いでしょう。政策として大幅な方向転換が無い限りはこの流れのまま小・零細企業が淘汰され高年収の大企業正社員、最低賃金の非正規労働者、自身のやりがいを追及する人(スタートベンチャーや自営業)の3つに分かれるでしょう。嫌な時代に向かって行きますが、おそらく逃げる事は難しくかなり暗い未来だと考えています。大企業勤務ではなく独立する事も出来ない人はコツコツと節約、倹約、投資を頑張るしかありません。暗い話しになりましたが、ひどく悲観している訳ではなく何かを頑張れば何とかなる時代だとも言えます。私はそもそも会社に長く居られればラッキーぐらいの考えなのでそこまで絶望していません。節約はあまり得意ではありませんが、倹約と投資は頑張れると思っているので私はそこで頑張って行こうと思います。そうで無ければ初めからFIREなんて目指していません。

前向きになる為に悲観する事も時には大事だと思います。賃金アップは自己責任で。
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