老後貯金

今や60歳は老後でも高齢者でも無い時代になりました。企業は雇用において65歳までの義務、70歳までの努力義務が課され、年金については基本は65歳、最大で75歳まで繰り下げが出来る様になりました。一方で「FIRE」をして若いうちから縛られない生活を送る人が増え、生き方においても大きな差が産まれました。何事にも格差が存在する様になりましたが、それは貯蓄額においても顕著に表れている様です。今回は60歳(還暦)を迎えた人の貯蓄額について見て行きたいと思います。

60歳(還暦)の貯蓄額

PGF生命(プルデンシャル・ジブラルタル・ファイナンシャル生命)の『還暦人(60歳を向かえる人)に関する調査』を元にしています。

2023年還暦人 平均貯蓄額:3,454万円  300万円未満:38.2%
2022年還暦人 平均貯蓄額:3,122万円  300万円未満:32.3%
2021年還暦人 平均貯蓄額:3,026万円  300万円未満:35.7%
2020年還暦人 平均貯蓄額:3,078万円  300万円未満:32.4%
2019年還暦人 平均貯蓄額:2,956万円  300万円未満:36.0%
2018年還暦人 平均貯蓄額:2,725万円  300万円未満:32.1%

過去の6年の調査結果になりますが、300万未満の割合がマチマチとは言え大きな変動が無い中で平均が上がっていると言う事は多くの資産を多く持っている人がさらに資産を伸ばしていると言えます。唯一減っている2021年は前年がコロナ初期で社会的ダメージが大きかった事を考慮すれば納得の結果です。

300万未満の割合がマチマチと言いましたが、最新の2023年が一番高い事は気になる傾向でおそらくは物価高の影響が響いていると考えられます。その意味ではこれまではマチマチでもこれからは徐々に割合が増えていく可能性が高い事が予想されます。

2019年に話題になった「老後2,000万円問題」を契機に国民の中で老後資金に対する意識が変わった事は間違いありませんが、結果としてはすでにそれなりの資産がある人が増やしただけで1,000万円未満の割合はずっと50%です。やはり資産や貯蓄の無い(少ない)人が増やすのは難しいと言えます。

詐欺被害

高齢者が多くのお金(タンス貯金など)を保有している事は家計調査からも明らかですが、それに付け込んだ特殊詐欺も減る事なく続いています。最近では海外に拠点を置く詐欺グループが逮捕、送還されるなどのニュースが流れますが、一向に無くなる気配はありません。令和に入って一時は減りましたが、残念ながらここ4年は右肩上がりに増えています。先日は75歳の高齢女性が2億5000万円を騙し取られる被害が発生しました。警察や省庁職員を騙ったこの卑劣な犯行は僅か3ヶ月ほどの間に行われました。話しを信じた女性に対してネットバンキングや仮想通貨の取引口座を開設する様に指示を出し、複数回にわたって総額2億5000万円を仮想通貨に交換、指定の仮想通貨口座に振り込みをさせたとの事でした。驚きは2億5000万円のお金を持っていた事、犯人の指示があったとは言えネットバンキングなどの口座を高齢者が開設出来た事、そして一番の驚きは短期間に同一人物がそれだけの高額入金をしてもシステム上のブラックは無くスルーされた事です。お金があり過ぎるだけの状況は幸福だけでは無く、リスクを同時に高めているという事がよく分かりました。意味のあるお金を理解出来る範囲で貯める事が重要だと言えます。

まとめ

「DIE WITH ZERO」(ゼロで死ね)は考えず投資を一生続けて行くものだと思っていましたが、必ずしもそれが正解ではなく、商品にしろシステムにしろ自分が理解を出来なくなれば辞める事が大事だと感じました。格差社会の下位で苦しい生活を強いられるのも上位で詐欺に遭うのも避けたいですが、ちょうどいい所で止める事など不可能でしょう。現在の高齢者の様に先の心配をしてタンス貯金を貯め続ける事もなく、早い段階から取り崩しを始め身の丈にあった暮らしに落ち着く事を意識して未来設計をするべきだと思いました。ある程度の資産を築いた後は老後破産にビビらず思い切ったお金の使い方をしてみたいと強く思いました。少し失敗したと思うくらいで終わる人生が正解なのかもしれません。

老後を考えすぎて今が不幸にならない様にしましょう。人生設計は自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/

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