大学授業料無償化!?

岸田総理が意気揚々と掲げた『異次元の少子化対策』。これを実行する為に設置された『こども未来戦略会議』で話し合いが行われ児童手当の拡充や大学授業料無償化に関する案が発表されました。
これには色々な人が反応し様々な議論(ほぼ批判ですが)が交わされています。
今回出された案が少子化対策においてどれほどの効果があるのか考えてみたいと思います。

結論

皆さんも大体分かると思いますが効果はありません。もちろん出生率などの改善が微々たる物でも効果があったと捉えるなら別ですが、明確に少子化が改善されたと言えるレベルには到達しないです。
現在の出生率は1.2~1.3程度で人口維持の目安は2.07と言われており、その差は約0.8これの半分でも改善されれば成功と言ってもいいと思いますが、専門家の試算では今回発表された政策全体でも出生率の改善は0.1くらいとの事です。出生率が2.0を下回ってからの約40年間、前年比で0.1改善した事は一度も無いので0.1でも改善ではあるのですが、異次元の少子化対策と言われると納得出来ない数字ではないでしょうか。

大学授業料無償化

一番大きく取り上げられたのがこの部分ですが、ここに問題があり過ぎてそれ以外の政策に目が行かないレベルでした。この政策の良かった点は所得制限を設けない事と専門学校も対象になった事くらいです。
問題点
・対象が多子世帯(子供が3人以上)に限定
子供が二人以下の世帯にはこの制度の恩恵はありません。たしかに出生率で2.0を超えるには3人目が必要ですが、今現在子供がいないもしくは1人だけという夫婦が3人目の事を考えるのはあまり現実的とは言えないです。

・国公立大で54万、私立大で70万を年間上限
現在の年間出生数は約80~90万人、大学入学に近い年代だと約100万人くらいです。大学への進学率は約60%弱(短大含む)なので少なくみても50万人くらいは進学する事になりますが国公立大の定員は約13万人の為、残りの40万人近い人は私立大になります。私立大の学費は年平均で約81万円くらいですが、それは一番安い文系学部の平均なので理系やその他の学部は金額が上がります。もちろん大半の学費が賄えるので良い事ではありますが、実際に無償になるのは進学率でみれば約25%、出生数でみれば約15%なので無償化は言い過ぎだと思います。

・子供が3人ではなく扶養している子供が3人
これが一番衝撃的でした。驚きを通り越してこんな事をよく考えたなと関心したくらいです。
子供が3人の場合
3人とも扶養している時だけ適応されるので1人目はほぼ満額で受給出来ますが、2、3人目が満額の補助金を受けられる確率はゼロです。1人目が卒業後に就職して扶養から外れた時点で終了です。3人が年子の場合に1人目が4年間、2人目が3年間、3人目が2年間受ける事が出来ますが、3人で大学生活が12年のうち9年分が最大になります。1人目が4年制で2、3人目が短大や専門学校であれば満額受給が可能ですが、2人ならともかく3人年子は私のまわりでは見た事ありません。子供が3人の場合に受け取れる現実的な額は50%程度(6年×45or70万)でしょう。少ない額ではありませんが、実家を出て一人暮らしをする場合はさらにお金が必要になります。3人目の出産を前向きに考えるには弱いと言わざるをえません。
定員割れの大学や留年など学業に一生懸命でない場合は対象から外されるなど、一定の基準がある事は良いですがそれは少子化対策ではないと思います。

児童扶養手当の拡充

低所得のひとり親世帯への手当を拡充するとの事です。これ自体は良い事ですが金額の問題と養育費等が支払われていないケースも多いと思います。そういう部分の罰則強化や差し押さえなども併せて行うべきです。もちろん法整備もされていると思いますが、実際に払わず逃げる人が多いのも事実です。

財源

『支援金』という名目で保険料に上乗せ徴収する方向の様です。未来の日本の為ですから集めるのはいいですが、納得の行く使い方をして欲しいです。
今回の追加財源は年3.6兆円との事です。それだけのお金を使うなら確実な成果を出して欲しいですが、専門家の試算にもある様な微増の出生率では根本的な少子化対策にはならないでしょう。どうせならもっと多くの財源を投入してでも明確な改善を達成すべきだと思います。個人的には保育園(幼稚園)に確実に預けられる状況が整う事が出産や子育てに対して前向きになれると考えます。
子供を授かりたい夫婦でも1人目で苦労し過ぎると次を考えられなくなりますし、何よりも出産(産休、育休)後に女性に早期職場復帰をしてもらい少しでも長く働いてもらう事で税収にも繋がります。その為にも最優先すべきは保育士さんの待遇を異次元に改善する事です。日本では資格を持っていても約6割の人が保育園などの社会福祉施設等で働いていないデータがあります。明確な待遇改善が出来ればこういった潜在保育士が現場復帰する可能性が高くなり、それは保育の質を上げる事になります。

終わりに

保育士の賃金を全業種の平均まで引き上げ、それを国が負担するとなると今回発表された予算を超えてくると思いますがそれが異次元ではないでしょうか。しかし女性が産後に働ける時間が増えれば家計は潤いますし、子供は将来税金を納めてくれます。家計の所得が増えれば使われる税金は減り、納められる税金が増えれば国民への還元(年金など)が増えます。こういった循環で良くなって行くのが正常で官僚や政治家はその事を分かっているのにいつまでたっても実行出来ていないのが現状です。良策かどうかは未来でしかわからないので今は最善でなくても思い切った(おそらく反対も多い)政策を実行して貰いたいと思います。

政策も投資も正解は未来にしか分かりませんが、政策(投票)も投資も自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/


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