マイナス金利解除

日本銀行は19日に開かれた金融政策決定会合でついにマイナス金利政策の解除を決めました。様々な理由はあるでしょうが、春闘で賃上げ率が5%を超えた事が最後の一押しになったのではないでしょうか。ここ数年は賃金上昇を上回る物価上昇率で実質賃金のマイナスが続いていた為、マイナス金利解除に踏み切れませんでしたが、ついに一歩踏み出しました。

預金金利

日銀の発表を受けて早くも大手メガバンクの三菱UFJ銀行と三井住友銀行が普通預金金利の引き上げ(0.001%→0.02%)を発表しました。近々みずほ銀行も同じ発表をすると思います。普通預金金利の引き上げは2007年以来、実に17年ぶりのでいよいよ「金利のある世界」が戻ってきます。メガバンクの動きに連動する様に地方銀行も利上げを発表すると思いますが、一番の注目はネット銀行です。「金利の無い世界」に誕生し銀行にお金を預けても全く増えない時代に「金利100倍」などの謳い文句で多くの顧客を獲得して来たネット銀行がどの様な政策を打つのか非常に楽しみです。

住宅ローン

金利が上がるといい事ばかりではありません。当然デメリットもあります。個人にとって影響がもっとも大きいのが住宅ローンの変動金利ではないでしょうか。住宅ローンを組んでいる人の約7割が変動金利での借り入れを行っており、金利上昇は返済額の増加に直接関わってきます。各行とも変動金利に連動するレート(短期プライムレートなど)の引き上げ発表は行われておらず一旦は据え置きと思われます。35年で住宅ローンを組んだ場合0.1%の利上げで返済総額100万円近く変わってきます。住宅ローン控除が見直され不動産価格が上昇をしている今、三重苦ともいえる状況になります。

貸し出し金利

個人だけでなく企業がお金を借りる場合の利息も上がります。賃上げにより人件費が増加し、経営を圧迫している会社は少なくありません。そんな中で借入金に対する金利上昇はかなりの痛手になります。さらにコロナ禍で売上減少などのダメージを受けた企業の多くが「ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保)で借入をしていましたが、返済猶予が設けられたこの融資の返済開始時期のピークが23年夏頃から24年春と言われており、中には早めの返済を始めている企業もありますが半数近くはこの時期から返済が始まります。賃上げ・返済開始・金利上昇によって正念場を迎える企業は相当数あると考えられます。

ドル円

ドル円は年初に140円近くまで円高が進み一気に加速するかと思いきや2ヶ月かけて150円まで戻していました。日銀の政策転換を意識してか3月に入ってからは再び円高に進みましたがすぐに戻り、日銀の発表後はむしろ円安が進み20日には一時151円オーバー、結局市場は日米金利差は縮まらないと判断していると言う事になります。マイナス金利の解除を発表した今、日銀が為替介入によってドル円相場を調整する事も考えづらいので150円を起点とした攻防は今後も続くと予想されます。6月には米国の利下げが噂されていますが、そうであっても140円/ドルを切る可能性は低くなったのではないでしょうか。

終わりに

マイナス金利という異常事態を続ける事は経済にとって好ましくない為、解除に踏み切った事は評価すべきだと思います。しかし個人や企業が受けるデメリットが少なくない為、今後は利上げのタイミングや上げ幅にさらなる注意が必要になるでしょう。住宅価格の上昇・借入金利上昇で不動産の購入は低下する事が予想されますが、代わりに賃貸市場は盛況になると思います。そして当たり前ですが、銀行は高確率で利益が増える事が予想されますので投資の面で言えば「REIT」と銀行株(特に高配当の銀行)への投資にうま味があると思います。自身も住宅ローン(変動金利)を抱えている為、不安になる部分は大いに分かります。利上げを前向きに捉える事は難しいですが、ネット銀行への借り換えや一部繰り上げ返済など打てる対策は多少なりともあります。諦めず出来る事から頑張って行きましょう。

金融政策に振り回されず、早めの行動を心掛けましょう。借り換え・売却は自己責任で。
宜しければ応援お願いします(^^)/

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