多くのインデックス派から支持を得ているS&P500。この指数の中心銘柄と言えるのがエヌビディア（NVDA）です。株や経済に興味が無い人には聞き馴染みが無い銘柄かもしれませんが、これまではGAFAMと言われるビッグテック5社が牽引してきましたが、この5社にテスラとエヌビディアを加えた7社が『マグニフィセント・セブン』と呼ばれています。GAFAMやテスラは一般消費者がサービスを使用したりニュースなどで名前を聞くこともあると思いますが、エヌビディアの商品やサービスは消費者が直接買う訳ではないので経済ニュースをあまり見ない人は知らないと思います。
エヌビディアとは
エヌビディアは創業30年の半導体メーカーで主にGPU（グラフィックス・プロセッシング・ユニット）の設計に特化している企業です。無数の種類がありますが電気を通す機器にはほぼ間違いなく何かしらの半導体が使われています。その中でも今後の発展に大きな期待が寄せられているAI（人工知能）関連（自動運転など）の分野で必要とされる半導体で圧倒的な力を持っているのがエヌビディアです。
2023年の話題の一つでもあるChatGPTに代表される生成AI、このトレーニングに使用されるサーバーのほぼすべてにエヌビディアのGPU関連製品が使用されています。この生成AIの分野はアマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトや中国のIT大手複数（アリババやテンセント）も注力しており、需要が減ることは無いでしょう。他社が自社で開発を行えば別ですが、AI用のGPUでエヌビディアの世界シェアは80％とも言われています。
売上
エヌビディアの売上は順調そのものです。コロナの影響で一時的に停滞しましたが、半導体の需要は高まり続けているのでそれに合わせる様に売上は上昇の一途です。業界の巨人であるインテルの売上を抜くのも時間の問題です。大手企業が自社開発に切り替えれば売上が落ちる可能性はありますが、開発費用や品質を考えると全ての企業が成功する訳ではありませんし、その間エヌビディアも新たな半導体の開発を続けるでしょうから売上成長が鈍化する事はあっても衰退は考えづらいです。
株価
売上の伸びも素晴らしいですが、株価成長も異常と言えるレベルです。ここ10年では100倍、5年でも10倍になっています。コロナ禍で半導体需要が高まり株価が急上昇した時の高値からでも現在は1.5倍になっています。現在の株式市場では非常に目立つ銘柄なので売買高も大きく値動きも荒くなる事もあると思いますが半導体需要が落ち込む未来が想像出来ないので中期的（5～10年）には十分な上昇が期待出来ると思います。
ライバル
同業のライバル企業はインテル、サムソン電子、TSMC（台湾セミコンダクター）、AMD（アドバンスマイクロデバイス）あたりになります。それぞれに強みがあり、どの企業も強力ではありますがエヌビディアの強みであるGPU（画像処理など）の分野では一歩抜けていると思います。業界を牽引してきたこれらの企業よりも新たなスタートアップの方が脅威になるのではないでしょうか。半導体が必要無くなる事はありませんが、他の半導体がGPUに取って代わる時がエヌビディアの正念場になるでしょう。
指数（ETF）への影響
これだけの企業ですからS&P500やNASDAQ100など多くの指数やETFに組入れられ、各指数や時価総額加重平均を採用してるETFでは必ず上位に名前が上がります。2023年には時価総額が1兆ドルを超え（世界で8社目）て成長しており、全世界株式（オルカン）においても1.7％の構成比で第4位に位置しています。この事から影響力の大きさが分かりますし、米国・先進国・全世界などの指数を買えば必ず付いてくるので資産運用においてリスク分散を考えるのであれば個別株として購入する必要性は高くないと思います。（よっぽど好きでなければ）
今後は？
不安要素としては強力なライバル企業の多さと顧客企業が自社開発に舵を切る事が挙げられます。この点についてはこの先もリスクとして減る事は無いのでより良い商品開発に頑張ってもらうしかないです。現在はわずかに配当が支払われていますが、今後も同業他社に負けない様に設備投資や開発費用が必要になる為、配当に過度の期待はせず株価成長に重きを置くべきです。個別株の投資戦略としては売上高の伸びが鈍化し始めると早期撤退が良いと思います。半導体需要が落ちない事を考えるとエヌビディアが停滞すると他の企業が台頭する事になるので早々にETFやインデックスファンドに乗り換えて上昇を取り逃さない戦略を取るべきです。 ただ個人的には不安要素を上回る期待感があり、今後数年は覇権を握る可能性は非常に高いと思っているのでしばらくはエヌビディアへの投資を続ける予定です。
特定の銘柄への妄信は非常にリスキーです。投資は自己責任で。
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